鉄板焼きの魅力を引き出し、さらなる高みへ
鉄板焼きで魅せるサティスファクション。「鉄板焼き 団居」<前編>
まずは小菅シェフの一皿だ。
なにやら焼き立ての……パンケーキ?が登場し、思わず目を丸くする。
シェフいわく、これはブリニという食事系のパンケーキで、ヨーロッパでは前菜として供されることが多いという。
すりおろしたれんこんにメレンゲなどをくわえてふんわりと焼き上げられており、根菜の香ばしい香りが食欲をそそる。
これに合わせるのは、サワークリームとラトビア産のスターレットキャビア、その下に敷き詰められている松阪牛のタルタルだ。
手で、というところがなんとも面白い。
瓶のなかからスプーンでタルタルとキャビアをすくい、ほかほかのブリニにのせる。
そしてそのまま口へ。プチプチとしたキャビアの食感、そしてすぐさま広がるまろやかな塩味……。
肉の甘みはそのあとからゆっくりと追いかけてくる。贅沢な食材を手でいただくという、この“横着さ”がニクい演出ではないか。
腰高シェフの一皿は、いただく直前に香り高い白トリュフをかけることで完成する。
さっとボイルした伊勢海老を中心に、菊菜やチコリ、ラディッキオ、フリーゼオといった、
彩りや食感が豊かな野菜が目を楽しませてくれる、サラダ仕立ての一品。
ホワイトチョコレートとゴルゴンゾーラチーズを合わせたコクのあるドレッシングが、白トリュフや苦味のある野菜とよく合うのだ。
しかしまったりとしすぎないよう、ところどころにリンゴ酢を用いたニンジンのソースも添えてある。
遊び心と独創性あふれる一皿に脱帽だ。
「雰囲気を大切に、ここでの空間と料理の両方を楽しんでいただけるように心がけています」と話すのは、小菅シェフ。
長く客前に立ってきた経験から、ホスピタリティあふれるもてなしが身についているのだろう。
大切な人との時間を優雅に演出してくれるに違いない。
腰高シェフは「鉄板焼きの新たな魅力を開拓できれば」と意気込む。
旬の素材を用いた料理の数々は、これからも訪れる人を驚かせ続けてくれるはずだ。
豪華な2人のタッグにより生み出される『団居』スタイルの新たな鉄板焼き。
これを楽しみにしない手はない。こうして名古屋の美食家の舌は、肥えていくのかもしれない。
<店舗情報>
鉄板焼き 団居
名古屋市中区丸の内3-10-8 LIBERTA CARINO 1F
052-684-5829
17:00〜24:00
日・祝休
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。