タルトは、ケーキ屋さんやカフェでよく見かける焼菓子のひとつですよね。
ふんだんに果物を使ったフルーツタルトや、リンゴやクルミなどと一緒に焼き込んで仕上げたタルトなど、たくさんの種類があります。
今回は、魅力いっぱいのタルトの特徴や、歴史などについてご紹介します。
目次
タルトの特徴は？
タルトは、タルト生地を使ったお菓子のことを指します。
タルト生地といっても、さまざまな種類があり、一般的によく使われるのが
- 「シュクレ生地」
- 「ブリゼ生地」
- 「サブレ生地」
です。
タルト生地の一つである「」は、フランス語で「甘い生地」を意味します。名前の通り甘みがあり、ほろほろと崩れるような食感が楽しめます。
砂糖をしっかりと加えるので、焼き上がりはこんがりと焼き色が付き、他の生地よりも固めに仕上がります。
「ブリゼ」とはフランス語で「砕けた」「壊れた」という意味で、卵を使わずに作られる生地は固めで乾燥しています。
バターや砂糖が少な目で、甘味がなく固めの食感はキッシュの土台に最適。食感はパイ生地とタルト生地の中間といったところ。「パートフォンセ」とも言われますが、パートフォンセとはタルトなどの底に敷く生地全般を指します。
もう一つの代表的な生地である「サブレ」は、フランス語で「砂のような」という意味があります。他の生地に比べるとざらざらしていて口の中で崩れやすく、その名の通り、まるで「砂のような」食感が特徴の生地です。
「サブレ生地」は、他の生地と比べるとバターの量が多いため、小麦粉に水を加えた時に生まれるグルテンの発生が抑えられることから、口溶けの良いサクサクの口当たりが生まれます。
砂糖が少なめのため、甘味が少ないのも特徴です。サブレ生地はクリームを多く使用するタルトや、型を抜いて作るクッキー生地としても使われることがあります。
タルトは上にクリームやフルーツをあしらったものが多いですが、「タルト・タタン」も「逆さまのリンゴタルト」とも呼ばれるフランスの伝統的な焼き菓子です。
また、プリンのようなカスタードクリームで作る「エッグ・タルト」もタルトの一つ。マカオやポルトガルなど世界中で愛されている焼菓子です。
タルトの歴史は？
タルトはフランス発祥のお菓子ですが、長い歴史があります。古代ローマの「トールタ」というお菓子に由来しており、さらにそのルーツは古代ギリシャやエジプトにあると伝えられています。
そのままの状態では食べにくいジャムやクリームを食べられる器に入れて出そうとしたのが始まりといわれています。
語源は古代ローマ時代のラテン語から来ており、丸い皿状の菓子をトールタと呼んでいました。
これは、「ねじる、丸める」を意味する「トルクウェーレ」という動詞から派生したもの。フランス語では「torte」から「tarte」に変化したとされています。
ちなみに、大きめのサイズで切り分けて食べるタルトは「タルト」、小さな型で作る1人用のタルトは「タルトレット」と呼ばれます。
実はたくさんあるタルトの種類
タルトといえば焼いた生地にカスタードクリームなどを敷き詰め、その上にベリー系やイチゴなどの生フルーツをあしらったものがおなじみかもしれません。
実はそれ以外にも、タルトにはたくさんの種類があります。
タルト生地にすりおろしたレモン果皮が入ったクレーム・シトロンを入れ、冷やし固めたタルト・オ・シトロン(レモンタルト)は、レモンの爽やかな味わいが口の中に広がります。
また、ガナッシュを入れてつくるタルト・オ・ショコラ(チョコレートタルト)もあります。
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- タルト・オ・シトロン(レモンタルト)
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- タルト・オ・ショコラ(チョコレートタルト)
そのほか、タルト・ノルマンドはノルマンディー地方の特産品である乳製品とりんごを使って作るタルト。生地にアーモンドクリームと果物を一緒に焼き込むのが特徴で、焼きたてと時間を置いて食べるのとでは味わいが違い、変化が楽しめるのも魅力です。
焼き方や作る素材によってたくさんのアレンジができる、とっても奥が深いスイーツですね。
タルトと似たようなお菓子も
タルトと似たようなお菓子にパイやキッシュがありますが、それぞれに特徴があります。
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- パイ
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- キッシュ
パイとは、バターや小麦粉で作ったパイ生地を使用し、煮込んだフルーツや肉・魚などを包んでオーブンで焼き上げたもの。
キッシュとは、卵と生クリームを使ったフランスの郷土料理です。タルト生地かパイ生地を器に敷き、卵や生クリーム、野菜や肉といった具材などをのせてオーブンで焼き上げます。キッシュの特徴は、主にお菓子というよりは食事として食べられることです。
タルト生地は、主に無塩バター、粉砂糖、卵、薄力粉、塩で作られます。たっぷりのバターを使うことで、サクサクした食感と、贅沢な味わいが楽しめる生地が完成します。
生地を型に敷き詰めて焼き上げ、季節のフルーツやカスタードクリームなどを飾り付けるのがタルトの特徴です。
日本で美味しいタルトがいただけるお店は？
・キル フェ ボン
1991年、静岡県で小さなケーキショップとして始まった「キル フェ ボン」は、こだわりの詰まったフルーツタルトがいただけるタルト専門店です。
季節ごとに変わる美味しい旬のフルーツをたっぷりとあしらったタルトは、見た目の美しさにもこだわっています。フルーツの中には、市場になかなか出回らないレアなものや、小規模生産者の方が丁寧に育てたものなど、様々なものを取り寄せて使用しているそう。
店内中央に設置したショーケースには、約20種類のタルトをホールのままディスプレイ。注文が入ってから切り分けるスタイルがキルフェボンの特徴です。店内に飾られたアンティークなディスプレイもおしゃれで、贅沢なカフェタイムが過ごせます。
▶ https://www.quil-fait-bon.com/
・ア・ラ・カンパーニュ
ア・ラ・カンパーニュは1991年に神戸で生まれた、こだわりタルトのお店。タルト専門店としての店舗数が全国一を誇る、大人気のお店です。
自慢の手作りタルトは、主役となるフルーツの個性を引き出すため、クリームやタルト生地などの素材にこだわっています。食べ頃の旬のフルーツをあしらったタルトは12～18種ほど。たくさんの種類があるため、どれを選ぼうか迷ってしまいますね。
◆◆まとめ
遠い昔に生まれたタルトは、さまざまな変化を経て世界中で愛されています。生地のサクッとした食感を楽しめるのが、タルトの魅力です。
たっぷりのフルーツを乗せた色鮮やかなもの、クリームチーズを乗せたシンプルなものなど、お店ごとのこだわりを楽しんでみてはいかがでしょうか。