FOOD

チョコレートの歴史をご紹介。日本にはどのように入ってきたの?

コンビニやスーパーでたくさんの種類が売られているチョコレート。

バレンタインなどの特別な日に贈り物として、また、小腹が空いたときのおやつとして、私たちの日常に欠かせない存在といえます。

今回は年々需要が増加するチョコレートの起源や歴史、どんな過程を経て作られているのかなどについてご紹介します。

 

紀元前のチョコレートは高価なものだった

はるか昔の紀元前から人類とつながりがあったといわれるチョコレート。古代メキシコではカカオは「神様の食べ物」といわれ、大変高価なものでした。

16世紀の初め頃、アステカの皇帝が黄金のカップで1日に50杯ものショコラトル(チョコレートで作られた飲み物)を飲んでいたという逸話があります。

 

当時のチョコレートはカカオ豆をすりつぶしたドロドロした飲み物で、とうもろこしの粉を加えたり、バニラやスパイスで香りをつけて飲んでいました。

また、カカオ豆は通貨としても使われていたんだとか。通貨の価値を持つほどのものを味わえるのは、ほんの一部の特別な人だけだったようです。

 

チョコレートは、聖職者や商人などの往来により、アステカからスペインに伝わったといわれています。アステカ独特のチョコレートドリンクは、スペイン人には全く合わなかったそう。

そこでチョコレートドリンクに蜂蜜を加えて甘くしたところ、またたく間にスペインの貴族社会に親しまれるように。その後、次第に砂糖が普及し、チョコレートに砂糖が入れられるようになりました。

 

スペインではチョコレートの存在を100年以上も門外不出にしていましたが、ついに1600年ごろにイタリア、続いてフランスに伝わります。

1615年にフランス国王ルイ13世のもとにスペイン国王の娘、アンヌ・ドートリッシュが嫁ぎ、宮廷にも広がったとされています。

 

日本でのチョコレートの歴史

ヨーロッパで成長したチョコレートが、日本に初めて伝わったのは18世紀末頃といわれています。当時の日本はまだ鎖国の時代。唯一外国に門戸を開いていた長崎の地に、「しょくらとを」という名前で伝わりました。

チョコレートが国内で初めて販売されたのは、1877年(明治10年)になってからのこと。チョコレートは「猪口令糖」の文字で漢字に変換され、当時の新聞に紹介されています。

 

大正に入ると知名度は全国に広がりをみせました。その後、第2次世界大戦によりチョコレートの原料であるカカオ豆の輸入が停止となりますが、終戦後、チョコレート産業は飛躍的に成長。

チョコレートづくりの技術が進み、多様なチョコレートが生まれました。大手お菓子メーカーにとどまらず、消費者の嗜好に合わせたさまざまなチョコレートが開発されています。

 

カカオ豆がチョコレートになるまで

年齢を問わずたくさんの人々に親しまれているチョコレートですが、実はカカオ豆からとれるチョコレートの原料はほんのわずか。

現代も古代と同じく、貴重な食べ物であることに変わりありません。また、カカオの収穫からチョコレートになるまでにはたくさんの工程が必要で、長い時間と手間がかかります。

 

チョコレートが私達の手元に届くまでの工程は?

カカオ豆が採れるカカオの木は非常に繊細で、育てるのがとても難しい木です。

最適な生育には、気温が最低でも25℃、湿度80%以上の湿潤環境で、理想的な年間降水量はおよそ1,800mmとかなり多く、常に日陰となる環境が適しています。

カカオ豆は原産地によって味や風味が全く異なります。

 

総務省統計局「世界の統計2022」によると世界でカカオ豆が最も生産されている国はコートジボワールである。以下ガーナ、インドネシアと続く。

 

カカオ豆は、カカオポッドと呼ばれるラグビーボールのような実の中に包まれた状態で工場に運ばれます。

ひとつのポッドには20~40粒のカカオ豆が入っていますので、まず実から取り出す作業を行います。

 

取り出したカカオ豆を発酵し、成分を変化させることで チョコレートの原料が生成されます。その後は水分を減少させるために天日乾燥させ、乾燥が完了するとチョコレート色の豆に変わります。

 

次にカカオ豆の加熱を行い、香りを引き出します。生のカカオ豆の中に眠った状態にある様々な香り成分を、適切な焙煎条件により最大限に引き出す役割があります。

 

焙煎されたカカオ豆は粗く粉砕され、カカオ豆の皮(ハスク)を胚乳部分(カカオニブ)から分離させます。ハスクの混入量が多いと、風味に影響が出たり粘度が高くなったりとチョコレートの品質が悪くなってしまいます。

手間のかかる作業ではありますが時間をかけて丁寧に取り除く必要があります。

 

こうしてようやくカカオ豆をチョコレートにする準備が整います。

次の工程でカカオニブをすり潰しチョコレートにしていきます。カカオニブの約半分はカカオバターと呼ばれる豆に含まれる油分でできています。細かくすりつぶすことでカカオバターが溶け出し滑らかなペースト状に変化します。

ここでチョコレートに必要な砂糖などを投入します。

 

ペースト状になったチョコレートはかき混ぜながら温度調整を行い、カカオバターの結晶を安定させます。

この工程はテンパリングと呼ばれ、きれいなチョコレートを作るためには手を抜けない作業のひとつです。いかに厳重にチョコレート生地の温度をコントロールできるかが重要なポイントです。

こうした作業を経て、型の中にチョコレートを流し込み、固まるとようやくチョコレートの完成です。

次回はチョコレートを使ったスイーツをご紹介します。お楽しみに!