FASHION

労働者の象徴だったジーンズが欠かせないファッションアイテムになるまで

10月26日は何の日かご存じですか?

私たちが一度はお世話になったことがあるであろうアイテム「デニムの日」なのです。この日付に決まったのは「デ(10)ニム(26)」と語呂合わせが由来だそう。2016年、一般社団法人日本記念日協会により認定されました。

 

 

それなら、「ジーンズの日」はいつなのか?

Levi's(リーバイス)」がジーンズの元祖となるリベット付きパンツの特許を取得した日ということから、520日は「ジーンズの日」と言われるようになりました。

実は「Levi's(リーバイス)」のバックパッチ、2頭の馬で引っ張っても破れないパンツを意味する馬のイラストの下に「PATENTED MAY 20 1873」と記載されています。

1873520日特許取得済み」ということですね。

今回は、ジーンズが誕生するまでの歴史と、現在のように欠かせないファッションアイテムになるまでをご紹介します。

 

Levi's公式サイト
https://www.levi.jp/

 

01/ジーンズの誕生

 

ジーンズといえばアメリカンファッションというイメージが強いと思いますが、実は生地になっているデニムはフランスが発祥地なのです。

イタリアのジェノバを中心に輸出されていて、それを見たアメリカ人たちが、ジェノイーズ(ジェノバの人)と発音していたのが「ジーンズ」のはじまりだとか。

 

時は遡り1847年、後に「Levi's(リーバイス)」の創業者となる当時18歳の青年は、母と姉と共にドイツからアメリカへ渡り、異母兄の仕事を手伝い始めました。

それから6年後、24歳になった彼はゴールドラッシュに沸くサンフランシスコで、金鉱労働者にむけて衣料品などを販売するお店を開業し、ハードワークに耐えることができる頑丈なワークパンツを商品化しました。これがよく知るジーンズの原型といえるでしょう。

 

ちょうどその頃、生地を卸していた仕立て屋から、特許を得る手助けをしてほしいと連絡がありました。仕立て屋に「重い道具や掘り出した金をポケットに入れて作業するので、破れない丈夫な物がほしい」というお客様からのリクエストがあったそう。

そこで、ポケットの補強にリベットといわれる専用の部品のようなものを付けることを思いついたけれど、自分には資金がないと言うのでした。仕立て屋から話を持ち掛けられた時に、リーバイス社も耐久性を高めるために悩んでいたので、それはいいアイデアだと双方が合意、協力し、リベットによる衣服補強方法の特許をアメリカ政府から取得しました。

この日が、1873520日、ジーンズの日が誕生した日なのです。

そしてこのことから、ジーンズは「労働者の象徴」といわれるようになったのです。

 

02/ジーンズがファッションアイテムになるまで

 

1911年「Lee(リー)」が誕生。そして1920年、映画でカーボーイがジーンズをはいて登場したことがきっかけで、労働者の象徴だったジーンズはカーボーイファッションとして変わっていきました。

それでも労働者が使用するイメージが強かったためか、女性がはくという考えはない時代でした。しかし、1930年になるとデュードランチといわれる富裕層による牧場観光がブームになり、観光客は牧場をテーマにジーンズをはきこなすようになったそう。

そこで、「Levi's(リーバイス)」は牧場観光用のアイテムとして、女性向けのジーンズを初めて生み出しました。そして1939年、第二次世界大戦により女性も工場で働き始めたことで、ジーンズをワークウェアとして使用するようになりました。

その第二次世界大戦によりアメリカ兵がはいていたジーンズが、日本に渡るきっかけとなったのです。

 

 

戦後の繁栄で労働着として位置付けられていたジーンズが、1950年代になるとカジュアルウェアとしてブームになります。このあたりから、ダボっとしたタイプのものからスキニーのような細身のものがトレンドになりました。

1952年、当時絶大な人気を誇っていたマリリン モンローが、シンプルな白トップスに着飾らないボーイフレンドジーンズをロールアップして着こなして出演した「暑い夜の疼き」から、ジーンズは勢いよく浸透していきました。1960年代になるとスターたちがこぞって衣装にするように。その頃、映画「理由なき反抗」でジェーム・スディーンが悪役として着用していた影響で、ジーンズは悪影響というイメージが世間についてしまいました。

一方で、若者が放つ異議申し立てのアイテムともなり、若者の象徴といわれるように。当時、ドレスコードが厳格だったことからホワイトジーンズが流行になります。パンクの間ではジーンズを引き裂いたスタイルが人気となり、その影響から、ダメージを与えても大丈夫なくらい丈夫という考えが定着したそうです。

 

1980年代になると、「Calvin Klein(カルバンクライン)」の広告が多くのブランドに影響を与えます。セクシーさを大切にし、美しく、シルエットを綺麗にみせることができるようデザインし、10年後デザイナージーンズブランドとして有名になります。

その後、「Dior(ディオール)」や「Dolce&Gabbana(ドルチェ&ドガッパーナ)」などメゾンファッション界にもジーンズが参入しました。

Calvin Klein
https://japan.calvinklein.com/
Dior
https://www.dior.com/ja_jp/fashion
Dolce&Gabbana
https://jp.dolcegabbana.com/ja/

 

 

◆◆約100年の歴史を得て

 

いかがでしたでしょうか。

誰しも一着は持っているといっても過言ではないジーンズ。

最初は労働者の象徴として作られ使用されていましたが、時代が進む中で、今では欠かすことのできないファッションアイテムとなりました。トレンドに合わせてデザインが変わりながらも愛され続けるジーンズ。普段何気なくはいていますが、こんなにもたくさんの歴史があるということをぜひ、覚えておいていただければと思います。