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日本との違いを知りたい!世界の教育制度とは?

突然ですが、みなさんは日本の「教育制度」について詳しく知っていますか?

時の流れと共に諸外国のさまざまな制度を取り入れ発展してきた日本。しかし、教育だけは約150年間も変わっていないといわれています。個人の得意の分野を伸ばし、才能を開花させることが重要視される現代、私たちが当たり前だと思っている「集団教育」は、これからますます変わっていくであろう社会に向けての問題点として挙げられています。

さて、世界はどうでしょうか。気候、生活、文化など世界と日本はさまざまな違いがあります。もちろん「教育」もそのひとつです。これから先、日本の教育問題を変えようとしたとき、注目されるのは海外の教育制度でしょう。

今回は、そんな世界の教育制度について深堀していきたいと思います。

ヨーロッパの教育事情

世界トップクラスの教育レベルを誇る国が多いヨーロッパ。中でも特に「フィンランド」「オランダ」「スウェーデン」は高い教育レベルを誇っています。ここでは3つの国の特徴を挙げ、ヨーロッパの教育事情をみていきましょう。

【フィンランド】

義務教育から大学院までの学費が無料で、給食費や文具代も支給されるため、家庭での子供に対する教育費の負担が軽減されています。このことから、金銭的理由で子供の将来の可能性が制限されることはありません。また、「勉強は自分のためにしている」という意識を持たせる教育方針のため、他人との比較につながるテストは行いません。

【オランダ】

5歳~18歳まで義務教育とし、16歳までに中等教育の卒業証明書を取得していれば、通学しなくともいいことになっています。5歳で必ず学校に入学しなければならないわけではなく、成長に合わせて入学を選択できるようです。フィンランド同様、義務教育期間の学費はほぼ無償。また、子どもが互いに一人ひとりの個性を尊重し合い、共生心を養う教育「イエナプラン教育」も、オランダで盛んな教育方法のひとつです。

【スウェーデン】

義務教育9年・高校3年・大学3年の教育課程。授業料は無償で奨学金などの制度も充実していることから、就職してから大学で学び直す人も多いよう。また大学入試はなく、代わりにそれまでの学校の成績によって合否が決定します。他にも、夏休み約2ヵ月、冬休み3週間、秋休み1週間、イースター休み1週間、スポーツ休み1週間と休みが多いのも特徴です。

北米の教育事情

ここでは、各州によって制度が異なり、多様な教育制度を持つアメリカの教育事情をみていきましょう。

各州に「教育省」、群に「教育局」、学校区に「教育委員会」が設置され、義務教育の年限、小中高の修業年限、カリキュラム、教科書、休日など、ほとんどの教育制度を学校区が決定しています。つまり、学校区によって教育レベルは異なるため、子どもを持つ親の中には、教育レベルの高さによって住む地域を決める人も少なくないようです。

K(幼稚園年長)~グレート12(高校3年生)まで、義務教育期間は「K-12」と呼ばれ、原則教育費は無償。また、アメリカの教育の特徴として学校に通わず家庭で教育を行う「ホームスクーリング」が挙げられます。この場合、保護者が教える、家庭教師に一任する、一部の教科のみ学校で受けるなどパターンはさまざま。他にも、自主性を尊重し、自発的な行動の繰り返しで成長を促す「モンテッソーリ教育」、体・心・頭のバランスを重視し、年齢段階に合わせた教育方法「シュタイナー教育」など、多様性を認めるさまざまな教育方法があるようです。

アジアの教育事情(中国・韓国)

ここでは、日本からも近い「中国」と「韓国」2つの国の教育事情をみていきましょう。

【中国】

日本と同様の「6-3-3-4年制」が採用されており、6歳からの9年間は義務教育期間とされています。この義務教育を終えた後、後期中等教育を実施する3年制の高級中学校へ進学するか、職業技術教育を実施する中等専門学校、技術労働者学校、職業中学に進学するか選択しなければなりません。しかし、中国国内の経済的格差が大きいことから、修学年限などは地方に裁量を委ねています。特に農村部では、予算不足などの理由から小学校を5年とし、続く中学校を4年とする地域もあるようです。

また、中国の学校教育の特徴として、受験戦争が挙げられます。その激しさは、日本でもたびたびニュースに取り上げられるほど。特に普通高等学校招生全国統一考試、日本でいうセンター試験のような受験が実施される6月は、「黒色六月」日本語で暗黒の6月と呼ばれているほどです。

【韓国】

韓国も日本、中国同様「6-3-3-4年制」が採用されています。公立小中学校の教育費用も日本と同様に原則無償。教材費や給食費も無償となる地域もあるようです。また、グローバル化への対応として小学校3年生から英語が必修化されています。義務教育の終了後はほぼ100%の確率で「一般高校」「特殊目的高校」「特性化高校」に進学するようです。このうち一般高校への進学が70%を占め、中国同様激しい受験戦争が行われるのも特徴です。大学入試では日本のセンター試験のような大学修学能力試験「修能(スヌン)」の成績と、各大学独自の「随時入試」のいずれかの成績を元に行われるそうです。

日本との違い

海外の教育方針に共通するのは「子供が主役」「大人がサポート役」ということ。当たり前に聞こえますが、日本と考え方が違います。日本の教育は、全員が同じレベルを目指し授業を受け、合格するまで何度もテストを行うなど「大人が知っていることを子供に教えてあげる」というイメージがあります。この教育方法で身に付くのは、諦めず繰り返し取り組む姿勢。努力によって能力を伸ばすといった考え方からきているのでしょう。しかし、海外の多くの国では「子供がやりたいことにチャレンジできる場を作る」教育を大切にしているように感じます。大人が用意したテストはやらず、子供たちがやりたいタイミングでやりたい内容について取り組む、というわけです。苦手な教科の克服よりも得意な教科を伸ばすといった考え方を重視しており、加えて多人種で多様性を重んじる国も多く、髪形や化粧、服装などのルールはかなり少なく、日本に比べると自由なイメージを強く感じます。このようなことを考えると、日本の教育は遅れているのでは? と思う方も少なくないでしょう。しかし、現在の教育方針にはもちろんいい所も…。例えば、海外の学校掃除は業者にお願することがほとんどですが、一方、日本では当番制などを用いて自分たちで行います。自分たちが使用する教室や机を掃除することで責任感を持たせるのです。日本の街がきれいに保たれているのも、この教育方法のおかげなのではないでしょうか。

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いかがでしたでしょうか。

国が違えば教育方針や制度も異なり、比較してみると違いは明確です。それぞれの制度には優れた点があり、日本もまた、センター試験の廃止やプログラミングの必修化など変化を遂げています。今後も諸外国のいい教育方針を取り入れながら、ますます日本の教育が素晴らしいものになって行くことを願っています。

 

Text by yumeka