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【チーズの世界にふれる】VOL.1チーズの歴史とその分類

バラエティ豊かな味が楽しめるチーズ。そのまま食べたり、サラダやサンドイッチ、オーブン料理と欠かせない存在である。

特にワインには欠かせないチーズプラターはマリアージュが決まると嬉しいものだ。フルーツやバゲットとの相性も良く、ひとときを楽しく過ごす主役の食材であろう。

そんなチーズだが、世界には数えきれないくらいの種類があり、作り方や特性によって様々な味わいを堪能することができる。チーズの歴史と分類を詳しく見ていくことにしよう。

 

チーズの歴史

チーズの原材料はシンプル。ミルクを固めたもの、あるいは固めた後に熟成させたものである。ミルクの種類は牛乳、水牛乳、山羊乳、羊乳、ヤクなど。原料乳が異なることで風味にも影響を与える。例えば、水牛乳は脂肪分が多くよりまったりとした味であり、モッツァレラチーズを牛乳と水牛乳でそれぞれつくると味わいが変わってくる。牛乳の方がさっぱりとした仕上がりであり、水牛乳の方は濃厚な仕上がりになるのだ。

原料乳だけでなくそのプロセスにより見た目も味も異なり、さらには土地によって特色があるのがチーズの最大の魅力。その歴史は遥か昔、紀元前に遡る。

チーズができあがったのは偶然。…ほとんどの料理がそう言えるかもしれないが、現在伝わる話にあるように、牛の胃袋にいれたままのミルクを飲もうとしたら白い塊が出てきた、洞窟にミルクの塊を置き忘れたらカビが生えていたが食べてみたら非常に美味であった、などの偶然性が関与している。ミルクのタンパク質は酵素や熱、酸で固まるのでこの特性が日常でたまたま作用しチーズを作ったのだろう。

チーズは紀元前にメソポタミアからローマに伝わり、ローマが制覇したヨーロッパの地域にも広まったことで多くの土地でつくられていくようになった。

実は日本でも飛鳥~平安時代にチーズの原型と考えられている「蘇(そ)」「醍醐(だいご)」を国内でつくらせた、と記録がある。非常に美味であったとされているが、貴族だけに留まった食文化であり、歴史的に発展することは無かった。この時は中央アジアからモンゴル・中国を経て日本に伝わってきたが、その後数百年の時を経て19世紀後半になってからヨーロッパ文化の伝来と共に再度チーズが広まり、現在に至る。

欧州のイメージが定着しているが、モンゴルもチーズが古くからつくられている地域。遊牧民のため、ミルクを新鮮なまま持ち運べず保存食品として発展してきたのである。

日本でも多く手に入るアメリカのチーズはヨーロッパの入植者によって発展したもの。コルビーやパルメザンなどが普及している。

現在は世界のチーズだけでなく国産チーズも定着しつつあり多くの味が楽しめるのが嬉しいところだ。

 

フレッシュ系?カビ系?チーズの分類とプロセスをおさらい

日本での大まかな分け方としてプロセスチーズとナチュラルチーズがある。これは乳等省令によって食品の分類上定義されたもの。プロセスチーズはナチュラルチーズを主な原料としているが乳化剤などを添加して一度溶かし、再度成形・凝固したものだ。

プロセスチーズは海外ではチーズそのものではなく、あくまでチーズ加工品として定義されるもの。日本のプロセスチーズに大きなマーケットシェアがあるのはチーズ文化の広がりが欧米に比べると浅いせいかもしれない。

そのため、ここではナチュラルチーズに絞って話しを進めていくことにしよう。今回は7分類のうち、4タイプのチーズを次に紹介していく。

 

<ナチュラルチーズの分類>

①フレッシュタイプ

マスカルポーネ

その名の通り、熟成させずフレッシュな風味を楽しめるチーズ。

クセがなく水分値が高いのが特徴でヨーグルトに近い風味をもつものもあり、チーズの中では手軽に食べやすい種類であろう。その新鮮さのため、賞味期限が短いものが多く、つくりたての美味しさを楽しめる。

原料となるミルクを乳酸菌、酵素、熱などで凝固させ、ミルクの中の水分を取り除くと固形物ができてくる。この固形物がチーズの元になるものだ。

凝固時に乳酸菌を使用すると爽やかな酸味を帯びた風味になるなど、その方法がチーズの特性を作り出す。

クリームチーズやマスカルポーネはデザートに使われており、食材の中でもジャム、蜂蜜などの甘味と相性が良いものも多いので取り入れやすい。朝食に一品添えるのもおすすめだ。

例)クリームチーズ、フロマージュブラン、マスカルポーネ、リコッタ、フェタ、カッテージ、クワルク

②白カビタイプ

カマンベール

チーズが白カビで覆われた真っ白なチーズの総称。代表的なものはカマンベールだが、最近ではより大きな直径のブリーも一般的だろう。白カビを表面に植え付けて繁殖させることで外側のやや硬い面に比べて中はねっとり濃厚。熟成まで数週間かかるが、熟成後はあまり保存がきかないので、カットしたら早めに食べることを推奨する。

少し室温に置くことでとろりと溶けてくるのがまた美味しい。

例)ブリー、カマンベール、クロミエ、サンタンドレ

 

③青カビタイプ

ゴルゴンゾーラ

クセがあり好みが分かれやすいチーズの一つ、青カビタイプ。風味が強く大人向けな印象だが、ハチミツと一緒にピザに使用するものもある。

こちらも白カビタイプと同様に表面に青カビを繁殖させている。チーズ内の通気性を良くするために表面から穴をあけるため、内部まで青カビが広がっていき、これにより切り口が大理石のように広がるのが美しい。舌を刺激する塩味と濃厚な味わいが好まれているチーズだ。

ゴルゴンゾーラはまろやかで食べやすいドルチェとシャープな味わいのピカンテに分けられる。青カビチーズの代表格ロックフォールは羊のミルクを使用している。フランス南部の村にある洞窟でできたのが始まりと言われており、現在も洞窟の中で製造されたものだけがロックフォールと名乗ることができる。これには歴史の深さを感じずにはいられない。

例)ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトン、ダナ・ブルー

④シェーヴルタイプ

サント・モール

フランス語で「山羊」の意であるシェーヴルは山羊乳を使用したチーズのタイプ。ミルクのクリーミーさと爽やかな酸味が味わえる。もろい食感で小型のものが多く、真っ白なフレッシュなチーズ、白カビに覆われたもの、表面に木炭粉をまぶしたものなどユニークさが際立つ。

形状も様々で丸型、棒状、円盤状、ピラミッド型など種類が豊富である。熟成することでコクが増し、また異なる味わいが魅力となる。個性のあるタイプなので是非一つ一つ口にして堪能してほしい。

例)クロタン・ド・シャヴィニョル、サント・モール

 

 

まだまだ奥深いチーズの世界。

2回目ではウォッシュタイプ、ハードタイプのチーズや栄養も含め紹介していこうと思う。

 

 

Next623日更新予定

「チーズの世界にふれるVOL.2 チーズの栄養とその分類」をお送りします。お楽しみに!

 

 

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