NOVEL

踏み台の女 vol.5 ~女友だちとの夜~

 

「で、そんなにイケメンなの? 写真は?」

 

金曜日、手洗いから戻る際にこっそり撮った写真を出してリサに見せた。

手ぶれしてしまってハッキリとは映っていないが、それでも神尾のスタイルの良さや、スーツの着こなし、雰囲気が分かるには十分だ。

 

「え、ぶれてる! でも、すごいイケメンっぽい。これ、ただ飲んでるだけよね?」

「そう、ただ普通に日本酒を飲んでるだけの姿」

「絵になるねぇ、俳優さんみたい。こんな人名古屋のどこにいたんだろ」

「ちょっと、既婚者なんだから狙うのやめてよ」

 

アユミが制すると、リサが「そういう意味じゃないって」と手を振って笑った。

 

その時、スマホの画面にラインの通知が届いた。

神尾だ。

 

『え! イルアオヤマってあの? 全然予約取れないとこだよね、なんでまた??』

 

混乱した様子の絵文字と共に送られてきたメッセージに、アユミはクスリと笑った。

 

「なに、彼?」

「そう、イルアオヤマにいるって送ったら、すごく驚いてる」

「ていうか、このお店知ってるんだね。普通のサラリーマンは絶対知らないし興味ないと思うけど、やっぱりやり手の営業マンはお店にも詳しいのかな」

 

感心したように言うリサに、アユミは得意げに「美味しいお店詳しいみたい」と頷いた。

 

 

next:2月3日更新予定

 ついにハイスぺ男子・神尾と過ごす誕生日当日。2人の関係は一体どうなるのか・・・?