NOVEL

選ばれない女 vol.10~一生の願い~

―でも自分の生活に妥協はしたくない。結婚は一生ものの買い物だから。

 

「それで合っています」

「それならば、妥協点を見つけたいのですが、どうでしょう」

「わたしは意見を変えるつもりはありません」

「そうですか…。愛沙さんはお綺麗だし、一緒にいて楽しかったけど…。残念ながら合わなかったみたいですね」

 

清水が心から残念そうに俯く。

 

「待ってください」

 

―このままでは破断になってしまう。

 

「わたしは和食も完璧に作れるので、普段の食事は任せてください。ワインだって食事に合ったものを選べます。ずっとこのプロポーションを維持しますし、顔だって…」

「愛沙さん、落ち着いてください」

 

興奮をたしなめられた自分が恥ずかしくて、居心地が悪い。

 

「自分で言うのもなんですが、僕は寛容な方ですし、大抵のことは話し合いで解決できると思っています。ですが…愛沙さんは、それをする気はないってことですよね。あなたには、あなたに合った方が現れるはずです。たまたま、僕とは合わなかった、それだけです」

 

落ち着きを取り戻した愛沙は言った。

 

「わたしを選ばなかったら後悔しますよ」

 

半ば脅すように言ったが、清水は動じなかった。

「お互い良い方を見つけられるように頑張りましょう」

帰り道は最悪の気分だった。