NOVEL

勝ち組妻 Vol.10 ~それぞれの未来~

 

「ねえねえ、ママー、きょうのごはん、ハンバーグがいい!」

 

香織の胸から離れ、つばが飛び散るほどの勢いで話す。

「はいはい。ブロッコリーも食べなきゃダメよ。」

「えー、おれ、ぶろっこりーきらーい。」

「おれじゃなくて、ぼくって言ってほしいなあ。」

 

二人で手をつなぎながら、駐車場まで歩く。香織の左手に、拓海の小さな右手がすっぽりとおさまる。いつかこの手が離れて行くとき、拓海は一体どんな大人になっているのだろう。

母親として、きちんと教えることは教えていくつもりだ。この子の存在で、救われる人がいるのなら。

大変だけれど、大きくなるまでもう少し。この子をがんばって育てよう。

 

「あっ、拓海!待ちなさい!」

 

香織の手をすり抜けて、車の方へ走っていく拓海を追いかけながら、それはまだまだ先のことになりそうだと小さくため息をついた。

 

 

 

END

 

 

最初から読む ▶ 勝ち組妻 Vol.1 ~タワーマンションの人間模様~