NOVEL

勝ち組妻 Vol.10 ~それぞれの未来~

 

仕事に行くとき旦那は、家の鍵をもっていく。今日持っていった鍵は、どうやら浮気相手の家のものだったらしい。オートロックの扉が開かず、あたふたと言い訳をする。

 

「あれ、拾った鍵届けに行くのわすれてた。」

 

そんなわけないだろー!

現在浮気18人目。(仮確定)

 

どうやらこのブログは、そこそこ読んでくれている人がいるようだ。こうやってほそぼそと続けられることが、里香の今の楽しみだ。

 

 

香織は車で拓海の通う幼稚園へ向かう。幼稚園へ向かう道中、これからのことを考え気分が重くなる。門の前にはいつもお迎えのお母さんたちがいて、子供たちがでてくる間おしゃべりをしている。

 

――いつも完璧な姿でいなくちゃ。

 

どこで誰に見られて、噂をされるかわからない。つねに香織は気が抜けなかった。

 

「こんにちは~。」

 

門の前にはすでに何人かのお母さん方が来ていた。それぞれ数人ずつの、いくつかのグループに固まっている。香織はできるだけ明るく笑顔であいさつする。

 

「あら、拓海くんママ。」

「こんにちは。」

 

手前にいたお母さん方が、ぺこりと軽く頭をさげてお辞儀をしてくれる。

 

「ちょうどいま、拓海くんのことを話してたのよ。」

 

拓海がまた悪いことでもしたのかとぎくりとする。

 

「拓海が何かご迷惑をおかけしたでしょうか…?」

 

恐る恐る聞くと、あっけらかんと答えられた。

 

「ううん。拓海くんっていつも元気で、見ていて微笑ましいなってはなし。」

「そうそう。こっちまで楽しい気分になっちゃう。」

 

お母さんたちがニコニコ笑いながら話す。

 

『拓海くんにも、いいところはあるでしょ。』 京子に言われた言葉を思い出す。