NOVEL

夫婦のカタチ vol.7~心にくるコトバ~

なんと一昨日、康平がバーで一緒に飲んだ男性こそ、綾香さんの旦那さんだったのだ。

綾香さんは、

「驚かせてごめんなさいね〜!実は今日のバーベキュー、旦那主催なのよ!」

と驚く私たちの横で笑っている。

 

実は私、旦那さんである修司さんとは、2度顔を合わせたことがあった。

1回目は夜の公園で綾香さんが声を掛けてくれた時。

その時は会釈をする程度で、顔も暗くてよくわからなかった。

2回目は一昨日、バーで会った康平を部屋の前まで送ってくださった時。

そこでは顔をはっきり見ていたが、名前までは聞いておらず、まさか綾香さんの旦那さんだったとは思いもしなかった。

 

逆に修司さんは、バーで話している時は知らなかったものの、康平を部屋まで送った時に部屋番号を見て、

(妻と最近仲良しのママ友のお家だったのか・・・)

普段の綾香さんとの会話を思い出して、私と康平が夫婦だとわかったそうだ。

自宅に戻って綾香さんに伝えると、せっかくの出会いということもあり、バーベキューを企画してくれたのだった。

 

私たち4人は親も子も年齢が近く、康平と修司さんがすでに仲良くなっていたこともあり、すぐに打ち解けて自然と会話が弾んだ。

保育園に行っていない私にとって家族ぐるみの付き合いというのはとても新鮮で、康平にもいつもより、どこかお父さんらしさが感じられて嬉しかった。

 

お肉が焼き上がり、前菜やチーズ、おつまみなどをテーブルに並べて海外製の瓶ビールをあけて乾杯する。

美味しいお肉とお酒を前にお互い、夫婦の出会いや仕事、子供の成長の話など楽しい会話が弾んだ。

 

一通り会話を楽しみ子供たちも遊び疲れてベビーカーで寝静まったところで、修司さんが本題に入るように私たち夫婦へ問いかけた。

 

「実はね、今日の会は康平くんと奈緒美さんのことが心配になって声をかけてみたんだよね。正直お互い、夫婦で思っていることなんかあるんじゃない?」

 

私は康平の目を見ることができなかったが、お互いに図星であるのがこの場を流れる空気から感じられた。

 

 

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最後のチャンスかもしれないと奈緒美は、康平との結婚生活の中で今まで感じてきたことを話し始めた。すると康平も徐々に重い口を開きだした。