NOVEL

2番目の女 vol.4 〜既読にならない週末〜

 

翔太と会わなくなって1ヶ月。私は新しい恋を見つけることに決めた。

だけど、もうすでに年齢は33歳。若い頃みたいに合コンで相手を探すことなんてできなかった。

 

悩んだ私は、結婚相談所に登録することを決めた。

33歳ともなると結婚のことも考えなければならないし、のんびり恋愛している余裕なんてなかった。

元々結婚願望は強い方ではなかったが、翔太の家庭を見ていると結婚をしたくなった。だけど「結婚がしたい」というより「翔太を見返したい」という気持ちが強かったのかもしれない。

 

結婚相談所に登録してから、私は多くの男性と会った。

一流の商社で活躍している人、起業して成功している人、公務員で安定した生活を送っている人…。30代後半から40代の男性が多く、中には結婚していないのが不思議なくらい素敵な人もいた。

その多くが、若い頃は仕事で精一杯で恋愛に時間を割く余裕がなかったそうだ。

 

そんな人と話すたび、私は自己嫌悪に苛まれた。

私も仕事を頑張ってきたが、恋愛をしてこなかったのは仕事が理由ではない。もちろん不倫をしていたなんていえないから、仕事で一生懸命だったと嘘を貫いていた。

私が男性に見せているのは、偽りの自分。そんな偽りの自分を「素敵ですね」といってくれる男性。この状態で、私から男性を好きになることなんてできなかった。ましてや結婚するなんて、考えられなかった。

 

多くの男性からアプローチも受けたし、交際を申し込まれたこともあった。

 

 

だけど私はそれを全て断り続けた。担当の人も最初は精一杯サポートしてくれていたが、次第に面談も雑になっていった。

 

それでも私は結婚相談所を退会するつもりはなかった。

 

いつか、私の全てを受け入れてくれる男性と出会えるはず…。

 

そんな淡い期待を込めて、多くの男性との出会いを重ねた。

だけど、心から信頼できる人は現れなかった。

偽りの自分を褒めてくれる男性たち。「ありがとうございます」とお礼を言いつつ、心の中は全く嬉しくなかった。こんな心理状態で、まともな恋愛なんてできるわけがない。

 

結婚相談所に登録して3ヶ月。私は誰とも交際をすることがなかった。

結婚相談所で成婚に至るまでの平均期間は約1年。1年には程遠いにしろ、このままの状態でいるといつまで経っても成婚どころか交際にありつけない気がした。

 

もう私は結婚を諦めるしかないのかもしれない…。

 

私はこのタイミングで、結婚相談所を退会することを決めた。でも、次に会う相手との日程は決まっていた。

だから、その人を最後に婚活を止めると決意した。それと同時に、一生一人で生きていく覚悟もした。

 

そして私にとって最後の出会いの日。これまでにないくらい気合を入れて、私は待ち合わせのカフェへ向かった。

 

 

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 今さら後悔したって、過去の過ちを取り消すなんてできないのに。後悔しながら迎える最後の出会いの日・・・