NOVEL

【新連載スタート】noblesse oblige vol.1~いつもの夕暮れに~

「何でもありません」

抑揚のない声で静音は答えた。

 

主治医から「理学療法を」と勧められ、半年ほど前から来るようになった。

 

医師なのか理学療法士なのか、そう訪ねられ新城は「どちらの免許も持っています」とだけ答えた。

 

端正な顔立ち。

まだ30代半ばだろうか。

恐らくこの容貌で医師となれば、引く手数多だろう。

 

ほんの数時間しか会わないけれど、今の静音にとっては他に会う人もない。

それでも特に会話することもなく時間だけが過ぎていく。

 

時計がボーン、ボーン、といつものように6回なった時、

そのことを少し残念に思っていることに、気づいた。

 

 

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