NOVEL

家にも外にも居場所がない vol.8~嫌なことを忘れたい日~

良家の娘として母親に厳しく育てられ、遊ぶ自由すらなかった清美。

そろそろいい歳だからと母からお見合いを持ち掛けられ渋々了承するが、1人目は自身の決断力のなさと母親の傲慢な言動で破談。2人目はモラハラや経歴詐称で清美を騙していたために再び破談。

何もかも嫌になってしまった清美は部屋で泣き崩れ、ただただ自分の不幸を嘆いた。

残酷に月日が流れていく中で、清美の婚活は果たして上手くいくのだろうか?

 


 前回:家にも外にも居場所がない vol.7~悪意と嘘が真実を覆す日~

 

「本当にあなたって子は情けないわね! 前の男に捨てられて、今度はあんな男に騙されて!」

母が興奮して騒ぎ立てます。その姿はまるで怒り狂ったライオンのようでした。

 

事の発端は一昨日、私が琢磨さんのお義母さまに相談したところまで遡ります。琢磨さんのモラハラや泉さんの嫌がらせが酷く、半ば別れるつもりで相談しにいったのですがそこで琢磨さんの学歴詐称も判明してしまいました。

あまりにも酷かったのでそのままお義母さまに琢磨さんとは別れる事を伝えて帰宅。

その日は母に琢磨さんと別れることにしたとだけ伝え、後日改めて事の次第を母に報告しました。そうしたら案の定、母は激怒。琢磨さんの実家や紹介人の田中さんに怒鳴り込んでいました。

 

琢磨さんには一切連絡をしていません。正直別れの挨拶くらいはするべきだったかと思いましたが、もう話したくありませんでした。

あれから何度も電話やメッセージが届いていますが、全て無視しています。あんな人とはもう関わりたくありません。

 

「どうしてあんなろくでもない男だってことを見抜けなかったの! 本当に男を見る目がないわね!」 

母の怒りは止まりません。その矛先は私にも向きます。

1人目の庄司さんも2人目の琢磨さんも母がお見合い話を持ってきたと記憶していたのですが。いったいいつ私に男性を選ぶ権利があったのでしょうか。

そもそも人と交遊を深める時間を奪いひたすらに習い事などを押し付けてきたのも母だったと思うのですが。私に人を見る目がないのではなく、人を見る時間がなかったのだと思います。

 

しかしそんなことを母に言っても聞く耳をもたないでしょう。そんなことはもうとうの昔に諦めました。

それからも母の小言は留まるところを知りません。多少は自分に責任があるとは思わないのでしょうか? 思わないのでしょう。

 

お見合いを通してわかりました。私の母は心底ダメなのだと。

自分が全て正しいと思い込んでいて、自分の間違いを絶対に認めない上に、そのくせ他人を指導しようとするどうしようもない人だと。