NOVEL

【錦の女】vol.9 ~凶悪~

残酷なすぎる現実に、腹を立てる気力もなかった。

レイラに対して何かをぶつけるつもりもなく、レイラがいる控室に顔をだす。

 

取り巻き達が威嚇するような表情でリナを睨んだが、顔に氷袋を当てたままのレイラが手でそれを制した。

 

「レイラさん。ごめんなさい。私のお客様が…」

 

そう、のぞみはリナの客だ。

その詫びを入れる必要がある。

 

しかしレイラの返答は予想だにしないものだった。

 

「リナさん。…知ってます?私があなたを嫌いな理由。プライドがないって言ったの…だけじゃないんです。

ユウってホスト。知ってますよね?あれね、あんなどうしようもない男だけど、私の彼氏なんで。私は、店に絶対行かないから、客とホストじゃなくて…本当のツレなんですよ。仕事なら何してもいいって…。男は思ってるみたいだけど、女はそれではダメですよね?

人の男の子供なんて産んで…なにしてんの!このクソババァ!!って、ずっと思ってました。

ノンなんか使わずに、あんたが私を殴ったらいい!!殴れよ!」

 

レイラが目の前にあったメイク道具を乱暴に落としながら、立ち上がりリナを罵る。

 

―…ああ、そういう事だったんだ…―

 

玲子は静かに頭を下げた。

 

Next513日更新予定

次回ファイナル!家に帰ると“少しの間父親の家に行く”という奈緒の手紙がテーブルに置いてあり力尽きて床に座り込んでしまうリナ。翌日【RedROSE】に出勤すると見覚えのある女がそこに…。