NOVEL

婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.5〜結婚へ向けた第一歩。高級結婚相談所への入会を決意〜

 

待ちに待った土曜日。その日は説明だけで、実際に男性と会うということはない。しかし、運が良ければ他の男性会員と事務所の中で会うかもしれない。そう思った私は、いつも以上にファッションにもメイクにも気を遣った。


男性ウケのファッションは知り尽くしているつもりだ。白ベースに花柄のワンピース。そして高すぎないヒールのパンプス。髪は下ろして緩く巻く。メイクも薄めで、女の子らしく見えるようにピンクのアイシャドウを取り入れた。完璧な私の姿。


電車に乗り、窓に反射する自分の姿を見て自信を持つ。今日も私は可愛い。気のせいかもしれないが、電車に乗っている他の男性からの視線も感じた。

 

今日私が行く結婚相談所の事務所は、名古屋駅の近くにあった。駅を出てわずか5分。まだできたばかりに見える綺麗なビルの15階に、事務所はあった。

 

時間は約束の13時の5分前。扉を開けると、高そうなスーツに身を包んだ綺麗な女性が受付に立っていた。私の姿を見て自然な笑顔を向ける。

 

「お待ちしておりました、松村様」

 

案内されたのは、カウンセリングルームと思われる個室。個室に使われているテーブルも椅子も、巷で見るような安いものではない。事務所の雰囲気から、高級感が漂っていた。そして出されたのは紅茶。普通のお茶ではないところにも魅力を感じた。

 

「松村様の担当の阿部と申します。先日はお忙しいところお電話ありがとうございました」

 

丁寧な挨拶をして部屋に入ってきたのは、先ほどの受付とは別の女性だった。私に電話をくれた女性。電話の雰囲そのままで、柔らかくて女性らしい雰囲気が漂っている。男性にも女性にも好かれるような見た目だ。

 

私の目の前に座る阿部さん。そして結婚相談所の説明を受ける。成婚までの流れや料金体系、登録している男性について事細かに説明してくれる。さらに、私が条件としていた男性の情報も簡単に教えてもらい、私が希望するようなお相手がいることがわかった。

 

一通り説明が終わると「すぐにお決めいただく必要はございません。ただ、もし松村様が本日入会の意思を表示されましたら、すぐに入会審査に入ることも可能でございます」と声をかけられる。私は即答だった。

 

「すぐにでも入会したいので、審査をお願いします」

 

まさか、こんなに早く入会の意思を示されるとは思っていなかったのだろう。阿部さんは少し驚いた表情をしていたが、すぐに「かしこまりました」と笑顔を向けてくれた。入会の審査にはいくつかの書類が必要で、それが準備できたらすぐに審査できるそうだ。

審査に落ちてしまったら入会はできないそうだが、女性の入会審査は男性ほど厳しくない。しかも私はまだ20代前半。他の女性会員と比べると、圧倒的に若い。だから入会できる確率は非常に高いとのことだった。

 

「これで結婚できる」

 

私は期待で胸をいっぱいにしながら、その日は家に帰った。

 

Next425日更新予定

結婚相談所の入会審査が無事通りこれで結婚できる!と喜んでいる莉奈であったが、理想の高さがネックとなりお相手探しは難航した。