NOVEL

婚活物語―ハイスペ男と結婚したい―vol.3〜格下女への敗北〜

耳元で囁かれた言葉。全くときめきなんてしなかったけど、欲に体は正直だ。私の手も先輩の体へと伸びる。

そのまま私たちは、チェックアウトギリギリの時間まで、何度も体を重ね合わせた。

 

「いつも可愛いけど、今日は特に可愛かったよ」

 

ホテルを出て、駅へと向かう。私も先輩も仕事終わりの服装のままだから、休日の昼間の駅ではかなり浮いていた。先輩はいつも以上に話しかけてきたけど、私の返事は「そう」と素っ気ない。だけどそれはいつものことだから、気にしていないようだ。

 

駅の改札まで入ると、私たちは別れる。「じゃあ気をつけて」と、お互いの家に帰っていく。私は先輩の家がどこにあるのか知らないし、先輩も私の家がどこにあるのか知らない。それくらい割り切った関係が楽だった。

 

 

最初は私に好意を持って話しかけてきた先輩だけど、今はただのセフレとしか見ていないだろう。私が斗真を「彼氏というアクセサリー」として扱っていたように、先輩は「セフレというアクセサリー」としか私を見ていない。もちろん私も、先輩のことはアクセサリーにしか思っていなかった。


「結婚できるのかな」

 

電車に乗ると、自然と目に入る家族連れ。幸せそうな笑顔を見ていると、私は将来が不安で堪らなくなった。他の人ができている「結婚」が、自分にはできないなんてプライドが許さない。

 

現実から目を背けようと、携帯を見る。「今日はありがとう」と先輩からメッセージが入っていたが、そんなの既読スルー。時間潰しに動画を見ようとアプリを開いた。すると、一つの広告が目に入る。

 

「女性に大人気!高身長・高収入・高学歴の男性との婚活パーティ!」

 

Next411日更新予定

斗真と別れて婚活パーティの広告が気になりだした莉奈。斗真以上の男性と結婚するためにそのパーティに参加することを決意する。