NOVEL

「Lady, Bloody Mary」~女の嫉妬~ vol.10

 

さて、今回の作品のブラッディーメアリー、勝者となった佐竹紗夜だがプロジェクトメンバーの坂間遼と東京に行った後、婚約。豪華な式で結婚したが、1年後、W不倫によりあっさり離婚した。

シングルになった紗夜はその後、東京で再就職したと聞いた。

男性遍歴を全て整理した紗夜はその後、マッチングアプリで夜な夜な男性たちと東京の夜を過ごしているらしい。

 

私が描いたブラッディーメアリーは、意外と脆く幻と化していた。

 

「ねぇー、ママ、何書いてるのー?」

 

真後ろから抱きついてくる小学生の娘。

 

「こらこら、ママはお仕事中だよ」

 

主人が微笑みながら、娘を抱き上げた。

私はもとCKNの社員だったが、今は同期で入った男性と寿退社した一人である。ちなみに総務部だったので、小竹さんの傍で彼女の動向は見守っていた。

彼女は普段は地味子キャラではあったが、やはり坂間遼の登場でそれまで封印していたいい女っぷりを全開にして、彼をモノにした。しかし現実では、彼女は幸せを全て手に入れることはできなかった。

 

他の2人も...。

 

「ねえ、ママはその小説の中で誰役なの〜?」

 

私は振り向き、娘の髪の毛をそっと撫で笑顔でこう告げた。

 

「ママは誰でもなかったのよ、うーん、言わば”ジョーカー”かな?」

 

透明な存在であり、切り札。

それが私。

Lady,Joker

そう記して、この作品の幕を閉じようと思う。

 

 

END