NOVEL

Insomnia Memories vol.6~最愛の家族と突然の別れ、受け継いだ新しい命。その時、彼女は?そして彼は…?~

 

手術室へ入ると、すぐ麻酔のマスクを掛けられた。

 

 

「補助心臓装置すでに用意できました」

「ドナーさんの心臓すぐに届く予定です」

「血液型など問題は検査ではなしです。」

「このタイミングでドナーが見つかるなんて、奇跡に近いぞ」

薄れゆく意識の中で、そんな会話が俺の耳に届いてきた。

そして音も光も、全て真っ暗に消えた。

 

酷く身体が寒い、何度も経験してきた手術後の感覚。指先が凍っているみたい。

意識が朦朧として

「時…生…っ!」

という誰かの声が残響みたいに響く。

そのままICUに運ばれ、無菌室状態で数ヶ月過ごすことになる。

どうやら心臓は適合したらしく、今のところ拒否反応もなく正常に動いているらしい。

僕の胸には何度も開かれたIの大きな傷がまたできたが、これがきっと最後になるのかな?

担当した医者に話を聞いた両親は大粒の涙を流していた。

誰かの心臓が、僕の命を確かに繋いだのだ。

外は既に空が明るみ、長い夜が終わろうとしていた。しかし僕はまたふっと浅い眠りについた。

 

 

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