NOVEL

絶対美脚を持つ女 vol.6~現実と夢の間~

ふぅ、と一息ついてナルミはコーヒーを口に運ぶ。

内覧して気に入れば、いよいよ工事の手配をしなければならない。そのあとはインテリアの搬入に、ホームページの作成。何より今頭の中に浮かべている事業計画をより綿密にしなければ。

着々と近づいていく自分の夢に、今まで感じたことのない焦りと浮遊感が心内に広がる。

 

オープンの計画が順調に進んだとしても、早くて半年後。

それまでに少しでも多くの人脈を作り、質の良い客を確保していく必要がある。

 

時計を見ると、そろそろ歯医者が乗車する新幹線が東京駅に着くころだ。

 

ナルミはコーヒーを飲み干し、足早に改札口へと向かう。人込みの中にさっきの男はいないかと無意識に探してしまう自分がいたが、新幹線を降りたのはもう30分以上も前。

いるはずもない。今は目の前のことに集中しなければ、と代わりに歯科医の姿を探した。

 

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神崎から紹介された物件を気に入り契約することになったナルミ。物件が決まってから彼女の人生は急速に前へと進んでいった。