NOVEL

家にも外にも居場所がない vol.1 ~言いなりの人生~

 

結婚相手と自分の親。将来の家族と今の家族の間で板挟みになり、心の拠り所がなくなってしまった女性の苦悩とは?

 


 

 

いくつになっても親は子を心配するもの。

ですが過保護は子供の自立を妨げ、度を過ぎれば子にとって害悪になってしまいます。

 今回は結婚という人生の大事な場面で親の行き過ぎた干渉を受けてしまい、婚活で苦労した一人の女性のお話を紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

「清美、あなたもそろそろ歳なんだし結婚とか考えたらどう?」

 「えっ?」

 母がどこか呆れるような、諭すような雰囲気でそう言ってきたのは、私が32歳の秋でした。父は何も言いませんでしたが、どこか母の意見に同調している雰囲気です。

 「お母さんどうしたの急に?」

 私が驚いたように尋ねると、母は少し困ったような顔で言いました。

 「あなたももういい歳なんだし、そろそろ結婚相手を見つけないとねえ?」

 

正直言って結婚が遅れている実感はありました。ですが、私自身は今の生活に満足していますし、改まって誰かを探す必要性を感じていませんでした。

 「別に今のままでも――」

 しかし母はそう思っていないようです。私の言葉を遮るように母は言いました。

 「私達もいつまでもあなたのそばにいてあげられるわけじゃないのよ?」

 

まるで私が親離れできないかのような、自分達が今も面倒を見ているという雰囲気が少し気に障りました。

 私も好きで実家で過ごしている訳ではありません。そもそも、社会人になった時、一人暮らしを反対したのは母なのです。『あなたの一人暮らしはまだまだ不安』だと。

 「別にお母さんたちがいなくても一人で暮らせます。家事だってちゃんと自分でしてるじゃない」

 「それだけじゃないのよ。老後のことも考えると、ねえ?」

 わかるでしょ? と母が言外に滲(にじ)ませてきます。

 確かに、母たちの老後の面倒を見る人は必要だとは思います。ですがそれは私でなくても出来る事です。最近は介護サービスも充実していますし、施設に入る金銭的余裕もあります。母たちの貯金は十分ありますし、私の稼ぎも決して悪いものではありません。

 

「実はあなたにいいお見合いの話があるのよ」

 始まりました。母は昔からこうです。私の意見は聞かず、自分の考えを押し付けてくる。私が何か言っても聞いてくれません。

 私は嫌な顔をしましたが、母はそんなことは気にも留めず話を進めます。

 「細川家の跡取りとして悪くない人だわ。きっとあなたも気に入るはずよ」

 私の家はそこそこ歴史のある名家というもので、東区白壁に代々受け継いだ家があります。

 歴史というか家系が大切な母は昔から事あるごとに家の名を出しては私に厳しくしてきました。小学校の時から南山大学付属小学校に通わされ、色んな習い事もさせられました。

 

「これもあなたのためなのよ」

 それが母の口癖でした。ここで言う「あなたのため」とは、私の気持ちは無視して母が思い描く理想を押し付けることです。

 

少し学生時代の話をさせてください。