NOVEL

「Lady, Bloody Mary」~女の嫉妬~Vol.4

 

年初めに集いし3人の着物美人。狙うは美形のハイスペ男子ただ一人。

クリスマスの甘い記憶を胸に、待望の仕事と彼を虎視眈々とただ追いかける。


 

前回「Lady. Bloody Mary」~女の嫉妬~ Vol.3

 

 

2022年、年初め。

三が日が明け、コンチネンタル・カンパニー・ナゴヤ(以下CKN)も仕事始めを迎えていた。

毎年、有志の女子社員は振袖に身を包み出社する、まるで某取引証券のところみたいに。

 

「安武さん、本当に似合いすぎ。さすがは若いねえ、目の保養だよ」

 

えー、そんなことないんです。もうだって数年前のですもん、と言いつつも聖奈は満面のキラキラした笑顔を他の男性社員たちに振りまく。

聖奈は数年前に両親に買ってもらい成人式に着た、ピンク色の華やかな色の振袖を着付けしてもらってきた。

 

「やはり大人の魅力だね、ゴールドと紺なんてなかなか玄人向けの振袖を選ぶなんて

小竹さんらしいというか...」

 

直接近づけず、見事に地味ながらワンポイントのゴールドが光る。

今日も眼鏡は掛けているが、長い黒髪を巻き三つ編みを組み合わせるように見事に編み上げている。

いつも地味子として見つめている男性社員たちの視線が見事に熱い。

 

「うわあ、三宮さん。今日は凄くお綺麗ですねー!」

「あらあ!お世辞なんて言わなくていいのよー、これ昔の母の振袖なのっ」

 

謙遜してそうで、一番気合を入れてきたのがリノであった。

朝早くから母親の真っ赤な振袖を手に持つと鼻息荒く、有名美容室で着付けとヘアセットをしてもらった鮮やかな長い茶髪を結い上げ、夜会巻きをきっちり落ち着けてきた。

仕事始めから、プロジェクトメンバーは華やかな振袖姿の3人を目にしてどこかテンションも高い。

 

しかし、本当の目的は違うところにあったのは明白だった。

3人の視線の先には、先方や本社と連絡を取っている坂間の姿が見えた。

本当に見て欲しいのは、彼だけなのに。

 

 

 

聖奈はイブに彼とディナーを楽しみ、プレゼントももらった。

それは大切に振袖の胸元に忍ばせていた。

 

紗夜はクリスマスの日に、2人きりで和食フレンチを楽しみ同世代だからこその悩みや、プライベートの話まで楽しんだ。これで少し、距離は近づくだろうと思いながら。

 

坂間と紗夜の姿を見た、彼を演劇のチケットで釣りたかったリノは上司の権限で、無理矢理その後、会社に彼を連れ戻し彼の唇を奪った。

 

それぞれアピールは、多分、上々。

 

と、3人とも感じていた。